恋……スル?-菅野 聡 編-
恋の分岐点
「……ちゃん…
…心晴ちゃん!」
「………!」
さっきから何度も名前を呼ばれていたようで、ようやくそれに気付いた私はハッとした。
「………朝陽くん…」
ここは、いつも朝に来るカフェの店内。
毎度の如く朝ご飯すら自炊しない私が、腹ごなしと癒やしを求めてやってきたわけだ。
「何だか、ここんとこずっと元気ないよ?
どうかしたの?」
「あ…ううん、そんな事ないよ。
ほら、元気元気!」
わざと笑顔を作っては、拳をギュッと握って朝陽くんに見せた。
と、その時――――
ピリリリリ…
ピリリリリ…
「あ、電話。
ちょっとごめん、朝陽くん」
「うん、どうぞ」
私は軽く朝陽くんに頭を下げながら、鳴りつめるケータイに耳をあてて出た。