恋……スル?-菅野 聡 編-
「俺たちの仕事は、ただ注文されたものを作るだけじゃない。
お客様1人1人違うエピソードを想いながら作り上げていくんだ。
それが、本当のオーダーメイドというものだろう」



「はぁ…」



依頼書には具体的なデザインの希望も書いてあるけど、何の目的だとか思い出だとか、はたまた経緯に至るまで書いてある。

確かにこの間まで私がデザインした中に、そんな感じの人のデータまであったとは思うけどさ。




「梅津、お前もここに勤めて随分経つな。
ようやくお前も使えるような人材になったとは思うよ」



「…ありがとうございます」



ビクビクして雷に備えて待ってたのに。
さっきからそんな事言われても、調子狂っちゃうよ。


私もここに勤めて何年になるっけ?

まぁ腕が上がったのを上司に認めてもらえた事は、大切なステップかもしれないけどね。

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