恋……スル?-菅野 聡 編-
「え…何で…?
どうして2つ……」



私はお財布の中の半券を取り出して、今拾ったばかりの半券と交互に見比べた。



ドキン…ドキン… と、私の胸がだんだんと大きく鳴り響いてきたのがわかる。



「同じタイトル…同じ日付…同じ映画館…っ」



席だって、私が持ってる半券と隣同士の番号。



いつの間にか、ゾワゾワと鳥肌さえも立ってきた。



まさか…まさかこのもう1つの半券…っ




「ねっ、リュウジ!
リュウジはいつからここにいた?」



「は?
こ 今度はどうしたんだよ心晴ちゃん?」



「この自販機で何か買って行った人、覚えてる?
えぇっと、メガネかけてて前髪長くって、いかにも草食系な男で…っ」



コレを落としたのが今日とは限らない。

あるいは、違う所で落ちたものが風に乗ってここに辿り着いただけかも。


でも、これが私と聡が最後に見た映画の半券には間違いない!

そしてこれを落としたのも、聡しかいないんだから!!


< 85 / 116 >

この作品をシェア

pagetop