恋……スル?-菅野 聡 編-
「…ありがとう。
じゃあ、いただくね」



「うん、ゆっくりどうぞ。
…てわけにも、いかないかな?」



「あはっ」




私はそっとカップを手に持って、唇を乗せて彼のブレンドしてくれたコーヒーをいただいた。




「…ん、おいしい」




身体だけじゃない、心まであったかくなっちゃうような朝陽くんのコーヒー。



…変ね。

私と朝陽くんはただのお客と店員なのに、彼はこんなにも私の事を考えてくれる。



もしかして、彼となら…枯れてしまった私の心を癒やしてもらえるかもしれない。


私が寂しい思いをしても、ずっと側にいて優しい笑顔を見せてくれるんだろうな。


だけど…





「あん、もうこんな時間!
全然ゆっくりできないじゃない!」



心地いいと感じる時間に限って早く過ぎちゃうのねっ。


カウンターに置いたケータイの時計は、早々と出勤時間の10分前を告げていた。



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