恋……スル?-菅野 聡 編-
「連絡はいつも君からだった。
だからまた君から声がかかると思って、それでずっと、待っていた」



「……………………っ」



ふるふると身体の奥から寒さとは違う震えがきて、目からは、はらはらと熱い涙が頬を伝ってきた。


嬉し涙なんかじゃない。
これは、悔し涙だ。



「…バカっ
だからって、1年も待つ奴がいるかぁ!」



「ごめん…」



「ごめんじゃない!
バカ!バカ聡!」



「…ごめん」



「もぉっ!」



涙は止め処なく溢れ、いい加減たまらなくなった私は聡の身体にギュッと抱き付いた。



「…私だって、ずっと…!
でもケータイ壊れちゃって、連絡先わかんなくなっちゃって…っ!
も…ずっと会えないままになっちゃうかと思っ…!」



聡の胸の中で私は思い切り泣いて、思い切り1年分の愚痴を吐いた。

声は震え、顔は涙で汚れ、もうめちゃくちゃ。



だけど………………


…だけど、よかった…!




「…ごめん、ごめんね。
でも…………お帰り」




< 91 / 116 >

この作品をシェア

pagetop