知らない闇と、骸



山積みの本たち。
羽ペンを綴らせる手がはた、と止まった。



「ねぇ?ジロ。乙女の下着を探しているの?それ、ジェントルマンとしてダメよ?」
クローゼットをごそごそと漁るジロに呼びかけると、顔をこちらに向けてきた。
手は動いたままだ。

「子供の下着になんて興味ねぇよ。つか、何で羽ペン?いちいちインク使うの面倒臭ぇだろ。ボールペン使えよ。」

「一安心したけれど、失礼よそれ。ボールペンはお父様に止められているのよ。私はまだ十歳だからね。この国では、十六にならないと、ボールペンの使用は認められないのよ。要は、成人したらってことね。」
話が逸れた、と思いつつ返事を返すとジロは私の目をジィッと見てくる。


「人間って・・・・・・面倒臭ぇなぁ。」
答えになぜかがっかりしつつ、妖魔に規則というものは無いものか、と思った。

ふと、先ほどの疑問を掘り出した。



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