知らない闇と、骸
「鬼っつーのは最近になって絶滅寸前なんだよ。鬼喰いで有名なタルッテが増えたからな。それを知った鬼はより大きな家にすむようになっちまった。タルッテを飼う家はよほどの馬鹿か、アホだからな。けど、集団で暮らせば見つかる確立はあがっちまう。だから鬼たちは住処がかぶらないようにしてんだ。この家の門にもあったろう?鬼嫌いの花が咲いてたからな。」
聞けば、タンポポという雑草の花をわざわざ持ってきて、家の門の前に咲かすのだそうだ。
今、タンポポなんて中々見ない。
へぇ~、と思ったのも束の間。
「タルーテ?って何?」
「タルッテ、な。ん~、そうだな。イタチみたいなカワウソみたいな生き物。あれよりも二周りほどでけぇが。すんでぇ鋭い牙を持ってやがる。最大で二メートルはいくか?あ、忘れてたが、肉食だからな。人も食うぞ。」
ゲホッと口に含んでいた水を吐き出した。
きたねぇなぁ、なんて視線見えない。声は聞こえない。
「人も?!」
「ああ。鬼がいなくなっちまったら食うだろうよ。特殊能力とか巫女とか位の高い奴はくわねぇみたいだぞ?」
あいつらは反対の意味でグルメだからな。とジロは言う。
ふ~ん・・・。人、食べられちゃうんだ。
怖いな。