知らない闇と、骸
「これが、涙宝姫か。」
水晶体の向こうでは、一人の少女が目から沢山の宝石を零している。
床に書かれた星型の魔方陣の上。水晶体がふわふわと浮く周りに、七人のフードを被った集団。
その中の一人、木で出来た杖を持ち空中で胡座を掻いている、恐らく初老の男性がそう言い放った。
「へぇ、美人じゃん。」
「まだ、十歳。お前とは二十も離れておるわい。いい年してロリコンとやらかい?・・・ナキ。」
金髪を揺らし、ククッと笑うナキという男性に突っ込んだのは、しゃがれた声で話すお婆さん。
「うるせぇよ、イタギ。」
お婆さんはイタギという名前らしい。
「私語は慎め。」
低く、威圧感のある声がその空間に響いた。
そのとたん、他の者たちは一斉に唾を飲む。
「この娘、いかがするおつもりか。」
「こやつの親はこの世界を不幸へと落とした。この娘には、その代償を支払ってもらう。」
「ちょっと、待て。ならこやつの親、殺した意味はあったのか?」
若く、冷静そうな男は水晶越しに見える死んだ男を見た。