知らない闇と、骸
「お前って、タトゥーって射れてんのな。」
ジロはどこか馬鹿にしたように、私の右太ももの外側を指差した。
青い大きなバラが一輪咲き誇り、それは茨で囚われている。
「・・・このバラは、私を意味してるといわれたわ。」
「へぇ?」
「気に入ってる、けど、気に入ってない。」
ぷい、と顔を背けて渡されたピアスを着けた。
「まだ、着かないのか。」
「なんだか、おかしいのよね。」
「は?」
「・・・本当なら、もうついてもおかしくないのよ。」
まるで、お父様が私を部屋から遠ざけているみたいに。
「・・・お、見えてきたぜ。」
書斎の扉は、とても豪華だ。
だけど。
「え。」
「どうした?」
ジロは、わからないのも当然だろう。