知らない闇と、骸


少年は目を開け、部屋の明かりのまぶしさに目を細めて、アレンを見た。
身なりは丁寧に整えられ、美しく着飾られ、高族の証であるエンブレムを象ったペンダントが首から下げられている。
「その瞳・・・。」
少年は何かに気がついたようにアレンを見た。

「フェルディーナ家の令嬢か。」
フェルディーナ家。ここいらで最も強い権力を持つ、皇族の一つ。
のそり、と起き上がった彼にうなずくと、アレンは笑みを浮かべた。

「私は、あなたに名前をあげる。あなたは私に―・・・。」
何か重大なものを発見したときの科学者のように言ってから、アレンは少年の腕で輝く、ルビーが埋め込まれた革の腕輪を指差した。

「それを頂戴!!」
「これか?」
少年は古くからの仕来りを思い出した。
そして、にやり、と笑った。

「良いぜ。ただし、俺がその名前を気に入ったらな。」
「うん!あなたはね、ジデュロって名前だよ!私はジロって呼ぶから!」
すでに、アレンの中では決定事項だ。
「ジデュロ・・・?」

少年は復唱してから、頭の中でいろいろと考えていく。




< 4 / 47 >

この作品をシェア

pagetop