知らない闇と、骸
いってみようか、弐



「ええぇっ?!ジロって本当に妖魔だったの?!」

立ち入り禁止部屋から出て少し行った、無人の広場。
そこにアレンの叫び声が木霊した。
「うるせぇ・・・。本物だ、魔法も使えるしな。」
得意げにジロが言うと、アレンはへぇ~。と感嘆しながら尻尾をつついた。
「これも本物なのねぇ~。」
ほぇ~、と情けない声が出る。

「妖魔って何するの?・・・人とか、食べるの?」
アレンは昔読んだ、悪魔が出てくる物語を思い出した。
もの凄く凶悪そうな顔で、人とか食べちゃうあれとはまた違う気がした。
「人はくわねぇ。うまそうじゃねぇ。妖魔は・・・妖魔級によるな。下級なら下働き。上級なら人間と取引して仕える。大魔道師が契約した妖魔が今は妖魔族の頭だな。」

へぇ、と考えてジロを見る。
ジロは、下級なのか上級なのか。
それから・・・。
「ねぇ、ジロって主はいるの?下級貴族なの?」
「はぁ?俺が下級なわけないだろ。それに、お前だろ?」
「え?」
「俺の主は、お前だろ。」

「・・・・・・ぇえええ?!わ、私が?!」
「おう。契約しただろうが。」

いつしたっけ?と、先ほどまでの出来事を思い浮かばせてみる。


だめだ、朝、珍しいお菓子といわれるデラックスフルーツ白玉善哉を食べたことしか思い出せない。
どうでもいい記憶だ。





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