†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「樹里、帰ろう」
「うん」
今日は特に事件もなく、定時で上がれることになった。
廉はいつもあたしをマンションまで送ってくれる。
あたしが悪いよって言っても、強引にでも送ってくれる彼。
愛されてるんだなって、実感できる……。
「樹里、お前さ。なんか最近変じゃないか?」
「へっ?」
いきなりそんなことを言った彼に驚く。
「いや…なんかやたら回りを気にしてるっつーか……なんかあったのか?」
二人で車に乗り込み、廉はハンドルを握る。
どうしよう…。
言った方がいいのかな……。
でも、まだ根拠もないし…廉に心配かけたくないよ……。
「……ううん。何もないよ。心配かけてごめんね?」
「……本当にか?」
廉の鋭い瞳に心が揺れる。
あたしは膝の上に置いた手を握る。