†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「樹里、可愛すぎ。抑え効かなくなるだろ」
「可愛くなんかっ……」
否定しようとしたのに、廉に真っ先に唇を塞がれてしまう。
「ん……」
「樹里は自覚無さすぎだ。自分がどれだけいい女なのか分かってない」
廉はあたしの唇を親指でなぞった。
「廉、だって……」
「ん?」
あたしは遠退く意識の中で、そっと彼の頬を両手で包む。
「廉だって…自覚ないじゃない。外歩いてる時なんて、すごく女の子の視線集めてるのに…本人は気付いてないし。あたし、すっごく嫉妬しちゃうもん……」
あたしは小さく呟き、ぎゅっと彼の厚い胸板に顔を埋めた。
廉の彼女は、あたし。
そんなこと、分かってるのに。
どうしても…廉を見る女の子達に嫉妬してしまう。
“この人はあたしだけの男”って、主張したくなるくらい……廉のことが好き。
「ふっ…そりゃ嬉しいな……」
「へっ?」
廉はあたしの額に優しくキスをした。
「俺ってすげぇ幸せ者だな…。好きな女にこんなに想ってもらえるなんてな」
「れ、ん…」
“好きな女”
その響きに、胸がきゅんとなる。