†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「おい…人の女に寄ってたかって何してやがる……」
ドスの効いた低い声。
嘘……廉!?
「れ、廉!?どうしてここが……!」
「美智瑠……お前、自分が何してんのか分かってるのか?」
美智瑠さんはあからさまに動揺し始めた。
「何よ…廉が悪いのよ。あたし以外の女と一緒にいたりするから……」
「俺の女は樹里だ。お前とはとっくの昔に終わってると何度言えば分かる?」
美智瑠さんは悔しそうに顔を歪める。
「樹里!大丈夫か!?」
廉は一目散にあたしに駆け寄り、抱き締めてくれた。
「れ、ん……廉……!!」
あたしは堪えきれず、彼の胸にしがみついた。
周りにいた男はオロオロとしている。
「あんたさえ……あんたさえいなければ……」
美智瑠さんがブツブツと言いながら、あたし達に近付いてくる。
「廉!美智瑠さんが…」
「死ね……っ!!」
あたしが言い終えないうちに、美智瑠さんがナイフを片手に襲ってきた。
「きゃっ…!!」
「樹里!!」
ーーザクッ!!
鈍い音と共に、床にポタポタと血液が流れた。