†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「宮崎…」
「あたし、最後に病室寄って行くね。岡田くんは?」
「いや、俺はいい」
岡田くんは悲しげな表情で答えた。
「廉は…きっと思い出してくれる。そう信じたい」
あたしがそう言うと、岡田くんは優しく微笑んだ。
「あぁ。そうだな」
あたしは信じる。
廉が思い出してくれるって。
ーーコンコン
廉の病室の前に立ち、ノックをした。
「どうぞ」
聞き慣れた彼の低い声がして、あたしは扉を開いた。
「お邪魔します」
「あー…なんだ、またあんたか」
廉は読んでいた本を置くと、呆れたようにそう言った。
「ごめんね。また、来ちゃった」
「いや…別に、構わねぇけど」
廉はゆっくりと立ち上がり、小さな冷蔵庫に歩み寄る。