†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
ペタペタとあたしが歩く度に、床が音を立てる。
リビングに出ると、キッチンの方から物音がした。
「廉…」
「樹里、起きたのか?」
廉は優しく笑うと、持っていたコップを置いた。
まだ、上半身裸だ。
「お前も飲む?」
「ううん。それより、こうしてたい」
あたしはいそいそと彼に近付き、そっと広い背中に抱き着いた。
「積極的だな。どうした?」
「ん…なんとなく、こうしたくなった」
まだ服を着ていないからか、密着する彼の肌が程よくフィットする。
「廉、大好き…」
「あぁ、俺も。」
顔だけ振り向いた彼の唇に、そっとキスをする。
「樹里…」
体ごとこちらに向けた廉に、強く抱き締められる。
鍛えられた厚い胸板。
程よく筋肉のついた腕。
彼を形成する全てが愛しくて、あたしは思わず彼の胸に顔を埋めた。