†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「樹里、ちっちゃいな」
「廉が、大きいんだもん」
そういえば、昔もこんなことあったな。
廉があたしを抱き締めて、こうして暖かい会話をして…。
「……っ…ひっく…」
「樹里!?」
いきなり泣き出したあたしに、慌てて肩を掴む廉。
変わってないな。
こういう優しい所も、全部。
「ううん…なんでもない。」
涙を隠すように彼の胸に顔を埋めると、慰めるように優しく抱き締められた。
「悪い。不安にさせてるよな…」
何も言わなくても気付いてくれる彼に、少し申し訳なくなる。
記憶を失って一番辛いのは廉なのに、あたしがこんなじゃダメだよね。
「ほら、下着も着ろよ。風邪引くぞ」
背中をポンポンと撫でられると、とても安心できる。
「せっかく、だから…もう一回…する?」
驚いたのか、廉は目を丸くした。
「ごめん、嫌だった…?」
「そんなわけないだろ。すげぇ嬉しい」
廉は軽々とあたしをお姫様抱っこした。
「れ、廉っ!重いから…」
「全然重くねぇから、気にするな」
優しく笑って、寝室へと向かう彼。
あたしはその温かい体温をもっと感じたくて、首に抱き着いた。