†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「れ、ん」
「可愛い…樹里」
あの後も、なかなか離してもらえず、あたしはずっと彼の腕の中にいた。
「今日、ずっとこうしてる気がする」
「はは。そうかもな」
廉はクスクスと笑いながら、あたしの後頭部を撫でる。
「何か飲むか?」
廉はゆっくりと起き上がると、大きな背中をあたしに向ける。
広くて、頼り甲斐のある背中。
いつもあたしを守ってくれる、大きな背中…。
あたしは知らずのうちに、彼の背中に触れていた。
「?何かついてたか?」
不思議そうに言う彼に、あたしはやんわり微笑んで首を振る。