†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
元彼女との対峙
「良かったな、雨宮!記憶も戻って」
「あぁ。サンキュ」
次の日、職場にやっと顔を出せた廉。
岡田くんは廉の顔を見るなり、落ち着いた表情になった。
「みんな心配してたよ。お前が刺された挙句、記憶喪失になったなんて聞いたんだからな」
「悪い悪い。もうなんともねぇから、安心してくれ」
あたしはそんな情景を見て、なんだかホッとする。
岡田くんはまだ廉に記憶がなかった時、廉に掴みかかる程、怒りを露わにしていた。
それは怪我をした廉を怒ったんじゃない。
それで悲しむあたしがいたから、怒ってくれたってこと。
「宮崎、雨宮のヤツもう大丈夫なのか?」
岡田くんは小さな声であたしに聞いてきた。
「うん。退院してからも、調子悪そうにしてる時はなかったし…。大丈夫だと思うよー」
「そうか。なら良かった」
みんな、廉のこと心配してくれてたんだな…。
ーーガチャッ
オフィスの扉が開くと、桐島隊長が入ってきた。
「「お疲れ様です!!」」
隊員達が一斉に挨拶をする。
「お疲れ。いきなりで悪いんだが、宮崎、雨宮ちょっといいか?」
桐島隊長は手に持った書類を睨みつけたまま、そう言った。
「はい…」
「了解」
あたしまで?
廉はまだ病み上がりだし、そのことだと思ったんだけど…。
「じゃあすぐに隊長室まで来てくれ。」
桐島隊長は静かにそう言うと、自室へと戻っていった。