†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「俺が君を恨むなんて、ありえないよ。むしろ好きだったんだから」
「岡田くん…」
あたしはぎゅっと手を握った。
「俺はただ単に宮崎を守りたかった。ただそれだけなんだ」
岡田くんは優しい笑顔でこちらに歩み寄ってくる。
「確かにこの後遺症はハンデにはなるけど…後悔はしてない。俺は宮崎を守れた。ただそれだけでいいんだよ」
「……ッ…ヒック…」
あたしは涙を我慢できず、廉の腕にすがってしまった。
「おい、岡田。人の女泣かしてんじゃねーよ」
「ふっ、なら泣き止むまで抱き締めててやれよ。王子様」
岡田くんはタートルネックの首部分を緩めるように伸ばす。
活動着の下に着ているタートルネックも、事故の前は着ていなかった物。
きっと、胸元に残る手術跡を隠すための……。