†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「どうした?」
樹里はいそいそと俺の後ろに回る。
そして、そのまま抱き着いてきた。
「廉の方が……痛かったでしょ?」
ぎゅっとしがみついてくる、柔らかい体。
俺は不覚にもドキッとしてしまった。
「痛かった?何がだ?」
「何がって……背中だよ。あたし、爪立てちゃったから……」
樹里は申し訳なさそうに俺の背中を撫でる。
あぁ……そういや、さっき感じすぎて爪立ててたっけな。
「気にするな。お前に付けられる傷なら大歓迎だ」
「で、も……」
「俺がいいって言ってるんだ。気にするな」
俺の背中にしがみつく彼女の柔らかい感触に、思わず手を出しそうになる。
やべぇな、俺。
樹里にベタ惚れだ。