†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
――カラン…
グラスの中の氷が心地いい音を立てる。
薄暗い照明に照らされた店内は、いい感じに落ち着いた雰囲気で。
なんともいいムードを醸し出していた。
「すみません。俺、ジンフィズを」
「かしこまりました」
隣に座る廉が、二杯目のカクテルを注文する。
あたしはと言えば、まだ一杯目のマティーニを飲んでいる最中。
廉、お酒強いもんな……。
あたしはにわかにぽーっとしてきた頭で、そんなことを考えていた。
「樹里、大丈夫か?」
「んー?何が?」
あたしはグラスを傾けながら、聞き返す。
「お前、結構酒弱いだろ。辛くなったらすぐに言うんだぞ」
「まだ、酔ってないよ。大丈夫……」
あたしはそっと彼の肩に頭を乗せる。
筋肉質で、逞しい肩。
あたしの大好きな廉の一部。