†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「なんだ、やけに甘えただな」
「違うもん。くっついてるだけだもん」
あたしは彼の肩にグリグリと頭を押し付ける。
「ったく、もう酔ってるな……」
廉は呆れたように笑うと、あたしの肩をそっと抱いた。
「可愛い、樹里」
耳元で甘く囁かれて、あたしは背中にぞくぞくとした痺れが走るのを感じた。
「れ、ん……」
あたしは我慢できず、彼の大きな手に自分の手を重ねた。
カウンターテーブルの上で、重なり合う二つの手。
そろそろと彼を見ると、優しく微笑んでくれて、上にあったあたしの手をぎゅっと包み込んでくれた。
「ちっちゃい手だな」
「廉は、おっきいよね……」
あたしの手をすっぽりと覆う大きな手に、うっとりと見とれてしまう。
この手に、いつも触れられてるんだ……。
あたしはふと、そんなことを思った。