†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
オフィスを出て、自販機の死角になる所まで来ると、いきなり廉が後ろから抱き締めてきた。
「廉?どうしたの…」
「悪い、実はさっきからずっとこうしたかった……」
廉は、はぁーと息を吐きながら、あたしの肩に項垂れる。
そんな彼に、愛しさが込み上げる。
「ふふっ、そんなにあたしとこうしたかったの?」
「あぁ、樹里は違うの?」
くるりとあたしを前に向けると、真剣な目でそう聞いてくる。
あたしは鋭い瞳にドキドキしながらも、そっと彼の胸に抱きついた。
「ずるいよ、廉」
「ははっ、何がだよ?」
分かってるくせに、意地悪そうに笑う。
廉はあたしの肩を掴むと、腰を屈めてゆっくりと顔を近付けてきた。
あ、キス…される。
そう思って、ゆっくりと目を閉じた。
その時。
――ガチャッ
「おーい、宮崎、雨宮!ちょっと言い忘れたんだけどさー……」