†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「「!!」」
あたし達はびっくりして、顔を見合わせた。
「樹里、こっちだ!」
「えっ、ひゃっ……」
次の瞬間、あたしは廉に引っ張られて、物陰に連れ込まれていた。
「あれ?二人とも、行くの早いなぁ……もう保管庫行っちゃったのかな」
不思議そうに言う、藤ヶ谷さんの声がする。
「保管庫に行ってみるか……」
カツカツ、と保管庫の方へ歩いていく足音。
それが徐々に遠ざかり、あたし達はやっと一安心することができた。
「危なかったなー…藤ヶ谷さんに見つかったら何言われたか……」
「廉のバカッ!エッチ!スケベ!」
あたしはブンッ!と廉のお腹に目掛けて拳を入れようとした。
「なんだよ、危ねぇな」
なのに、その拳は簡単に受け止められてしまう。
「なんだよじゃないッ!!」
あたしはドンッ!と彼の体を押す。
ありえない!!
もう少しで藤ヶ谷さんにバレちゃうとこだったじゃない!!