†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「隊長から指示があるまで待機だね」
「あぁ…それまでもってくれるといいが」
廉は険しい顔をして銀行を見た。
彼の言いたいことは分かる。
人質がいるのに、こんなところで待機してなきゃならないなんて……。
それはあたしも一緒。
「廉、大丈夫だよ。あたしらならイケる」
「樹里……」
あたしはニコッと彼に微笑みかけた。
「らしくないね。廉が焦ってるなんて」
「ふっ、気のせいだ」
廉はあたしから目を背けた。
その時。
無線が入った。
『本部よりSAT各位。これより強行突入を開始する。繰り返す、強行突入を開始する』
強行突入!?
また、そんな……。
「犯人が交渉に応じないんだな…。上も焦ってるんだろうな」
「でも…それほど興奮してる相手なのに、強行突入なんて……」
「樹里」
廉はとても真剣な声を出した。