†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「……美智瑠(ミチル)…」
戸惑いに満ちた廉の声。
え?美智瑠?
っていうか……誰?
「久しぶりね。元気だった?」
美智瑠と呼ばれた女性はヒールを鳴らしながら廉に近付く。
「あ、あぁ……」
廉は低く答える。
「部屋を出ていってから……ずっと探してたのよ?あたし、別れたつもりないんだけど」
美智瑠さんは少しきつめの口調で言った。
部屋を出ていってから?
別れたつもりない……?
あたしはその言葉で分かった。
この人……廉の元カノだ。
そりゃ廉だって大人だもん。
元カノの一人や二人……。
「俺はきちんと別れたつもりだ。それに……俺には今、大事な人がいる」
廉はそう言うと、あたしの肩を抱き寄せた。
「ひゃっ!?廉っ……」
「こいつは俺の女だ。美智瑠、お前とどうこうなるつもりはない」