わたしのピンクの錠剤
 
陽子さんは言葉を選びながらしゃべる。

「その時、お母さんが亡くなったっていうのは聞いてるのよね」


「親父にはお母さんと入れ替わりで産まれてきたって聞いている」

「そっかぁ。でも、入れ替わりって言葉で済ますには大変な手術だったのよ」


「大変な手術って、もしかして、私のせいだったの?」

「違うわよ。あいかちゃんのせいじゃない。お母さん自身のせいよ。病院に運ばれて来たときには、瀕死の状態だったんだから」

「ひんし?」

「事故で、出血多量で、今にも死にそうだったの」


 事故・・。


美智子先生が頭に浮かんだ。



「何の事故だったの?」

「そ、それはわからない」


 交通事故じゃないんだ。


 
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