わたしのピンクの錠剤
殺人容疑
夕方になると親父は毎日来てくれた。
陽子さんもお昼には来てくれた。
二週間もすると、胸の痛みはほとんど感じなくなった。
でも、松葉杖をつけるほど完治しているはずもなく、ギプスの足ではまだ自由に歩けなかった。
そんな中、担任の加藤先生が転院の日以来、久しぶりにやってきた。
その日の先生はやけに神妙な面持ちをしていた。
「どうかしたの?」
私の問いにも、先生は思いあぐねているようだった。
「クラスのみんなは、やってきたか?」
「まさか」
私は首を横に振った。
「実は、学校で大騒ぎになってるんだ」
先生の重苦しさを見れば、ただ事でない様子がひしひしと伝わってくる。
「本当は小田には言わない方がいいのかもしれない。でも、誰かに聞くんであれば、先生が言った方がいいと思うんだ」
私はじっと先生の顔を見ていた。
先生はあらたまって、重い口を開いた。