わたしのピンクの錠剤
 
きっと、先生が連絡してくれたんだと思う。

すぐに看護師さんが駆けつけ、ベッドまで運んでくれた。



しばらくすると、立花先生もやってきてくれた。


何故だかわからない。

立花先生の顔を見た途端、涙がどっと溢れた。

立花先生にしがみついて泣きじゃくった。




泣いて泣いて、もう涙が出ないくらい泣いたら、少し落ち着いた。



「先生、ホントにすぐ来てくれたんだ」

「お姫様に呼ばれたんじゃなぁ、飛んでくるより仕方ない」


先生はにっこり笑った。


「大丈夫かい。あいかなでも現れた?」


私は首を横に振った。



「美智子先生が逮捕されたの」

「えっ、病院にあいかちゃんといっしょに来た保健室の先生?」



立花先生だって驚きを隠せなかった。

それほど、あり得ない話だった。



「先生を助けて。先生は絶対犯人じゃないの」


入院先での美智子先生の悲痛な叫びが思い出され、胸が締め付けられた。




「いきなり逮捕ってのが引っかかるなぁ。何か確実な証拠があるのかもしれない」

法学部出身の立花先生は冷静に分析する。


「ちがう。そんなはずない」


 
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