わたしのピンクの錠剤
 
「でも、あの人は立花先生と会ってたんでしょ」

「そうだけど、殺されたのはその後なんだ」



「その人は先生に何を話したの」

「ああ、あいかちゃんのことだ。

 あいかちゃんが小田の娘だって、教えてくれた」




 えっ?


 それって、・・



 先生があの男を使って調べさせたってことなの?




「ちがう、違う。黒木さんも偶然に知ったらしいよ」

私の考えを察知して、立花先生は否定する。


確かに偶然だったかもしれない。
でも、その後が普通じゃ考えられない執拗さだった。

 それって、先生が指示したものなの?

私は猜疑の眼差しを立花先生に向ける。

 
「むかし小田があいかちゃんを連れて行方不明になった時、二人のことを知らないか黒木さんに尋ねてたんだ。だからじゃないかな。それを覚えていて、あいかちゃんを見つけた時、真っ先に教えてくれたんだと思う」

私は親父の方をちらっと見て、立花先生に確かめる。


「親父は行方不明になったの?」

「あっ、ごめん、ごめん。行方不明って言い方はないよなぁ。先生が小田に連絡がつかなくなったってことだ」



 行方不明
 行方不明
 行方不明
   ・
   ・

私は頭の中で繰り返していた。


  

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