わたしのピンクの錠剤
「小島先生、来なかったそうだ」
立花先生が戻ってくると、突然親父は立花先生に噛みついた。
「立花さん、あの日あんた、俺を犯人だと決めつけていたんでしょ。だから、あいかの病気にかこつけて、わざわざアパートまでやって来たんだ。そうなんですよね」
立花さんはキッと親父を睨みつけた。
「それは違うよ。小田が犯人じゃないって確かめるためにアパートまで行ったんだ。だから、あの日事情聴取にやってきた刑事にだって何も話さなかった。もちろん、小島先生のこともだ」
親父は頭をかかえた。
「すいません、すいません」
激しく頭をかきむしっていた親父の指はやがて動きを止め、ボソボソと親父の口から言葉がこぼれ始めた。