わたしのピンクの錠剤
 
救いは、あいかなのあいかちゃんへの忠誠心を垣間見たことでした。


「ちょっと、意外かも。キミはあいかちゃんを守ろうとしてるんだ」

「そんなんじゃねえよ」

不思議なことに、あいかなと話をしていると、男の子を相手にしているような気分になります。

しばらくは差し障りのない話をしていましたが、思い切って聞いてみることにしました。



「キミは男の子なのに、どうしてそこにいるの?」

「んー、男の子って言われると照れるなぁ。けっこう、いい歳なんだ。もちろん、美智子先生よりもかなり上だ」



「えっ、そうなの?ごめんなさい。じゃ、どうして、イイ歳の男性がそんなところにいるのかしら?」

「話せば長くなるけど、一言で言うなら、他に行くところがなかったからかな」


私はちょっと戸惑っていました。

専門外の私がにわか知識で、何をしようとしているんでしょう。


それにしても、あいかなにすぐに出て行ってもらおうだなんて、虫がよすぎます。

だからといって、何もしないで放っておくには、あいかなは危険すぎます。


私にできることは無茶をしないでくれと、あいかなを説得することでした。


 
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