わたしのピンクの錠剤
 
「俺は交代人格ってわけじゃないんだけどな。まあ、いいさ。要するに俺は邪魔物ってことだろ」


沈黙を破ってあいかなから出た言葉は悲観的なものでした。

「そうじゃないわよ。あいかちゃんがピンチの時、交代してあいかちゃんを守らなきゃいけないのよ」


「わかってるって。俺の居場所なんて、昔からどこにもなかったんだよ」 

「そんなことないよ。キミだって、あいかちゃんの一部なんだから、居場所がないなんて、そんな哀しいこと言わないで。ずっとそこにいていいんだよ」


「ずっといていいなんて、いいかげんなことを言うなぁ」

「いいかげんじゃない。ただ、暴力はやめてほしいの。いくらキミが年上でも、身体は小学生の女の子なんだよ。危ないことはやめてちょうだい。大人でも包丁で刺せば死んじゃうんだから」



「俺が知らないとでも言うのかい」

「人を殺すってことをキミはわかってない。人を殺すってことは一生十字架を背負って生きていくってことなんだよ」


 
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