わたしのピンクの錠剤
 
「わかったようなことを言うんじゃねえよ」

そう言うより速く、あいかなは私の後ろにまわり、私の首に腕を回したと思ったら、足を掛けて、そのまま前に押し倒しました。

私は顔面を打たないように手をつくのが精一杯で、防ぐ手立てなどなかったのです。


「でもね、でもね、本当のことなんだよ」


私の言葉など、もはや届いていませんでした。

髪の毛をつかまれ、仰向けにされると、あいかなの指が私の首に絡みついてきました。


「お願い、やめて・・」



いま考えると、どうしてはね除けなかったのか、わかりません。

大人の力をもってすれば、小学生の女の子相手です。
簡単に投げ飛ばせたはずなのです。

でも、その時はできませんでした。



死への恐怖はなかったように思います。

きっと、あいかなだって本気で殺そうとは思ってなかったと思います。


私はただただ、わかってほしいという気持ちで一杯でした。



でも、あいかなにその気持ちは届かなかったのです。


 
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