わたしのピンクの錠剤
気付くと、立花先生が私の手を握っていた。
私はあいかなのことを他人事のように聞いていた。
私と同じ身体から繰り出された出来事とは到底思えなかった。
それより、親父のことの方が気になった。
「黒木とはそこで別れた。もちろん、それで済んだとは思っていなかった。だけど、その後、そういうことになっていたなんて、・・・。すまない。全部俺のせいなんだ」
「どういうことなの、親父」
何も言えない親父に代わって、立花先生が教えてくれた。
「殴られて、罵倒されて、黒木のプライドはボロボロになったんだろうな。そして、その憎しみの矛先が小島先生に向かったんだろう。どうも、黒木は小田と彼女がつきあっていると思っていたようだし」
「でも、でも、だからって、美智子先生があの男を殺したことにはならないでしょ。ね、ね?」
「そうだな。いくら証拠がそろっていても、正当防衛で争えるかもしれないな」