わたしのピンクの錠剤
記憶
その夜は眠れなかった。
美智子先生のことが頭から離れなかった。
そして、今は見あたらないあいかのことを思っていた。
あいかなのした事に関しては自分でも不思議なくらい冷静でいられた。
自分の手をまじまじとながめても、この手が美智子先生の首を絞めたとは到底思えなかった。
別世界の出来事のようだった。
でも、あいかの方は別だった。
私はあの日、先生のマンションからの帰り道のことを何も覚えていなかった。
あいかとの会話を懐かしそうに話す親父の顔が許せなかった。
親父に嫉妬したのか、あいかに嫉妬したのかはわからない。
ともかく、私だけ除け者にされたようで、辛かった。
あいかのことは全て知っているつもりだったのに、そうじゃなかったんだと気付かされた。
やっぱり、私はあいかじゃないんだと思いしらされた。
やっと眠りについた頃、夢を見た。
もしかすると、夢じゃなくて、愛子の記憶だったのかもしれない。