わたしのピンクの錠剤
 
親父の「二人が愛し合ってできた子供」というフレーズが頭の中でぐるぐる回っていた。


 あれは嘘だったの?


言葉に詰まった私を気遣って、茜さんは私の肩に手を置いた。


「あの時は仕方がなかったの。決して見捨てたわけじゃなかったのよ。私たち、小田って医者に騙されてたの」

「ちょっと待って・・。お願いです。ちょっと待ってください」



私は頭が混乱していた。

茜さんの話には、ついていけなかった。


助けを求めるようにおばあさんの方を見ると、おばあさんは茜さんよりももっと憤りの表情をにじませていた。

「そもそも、最初っから無茶苦茶だったじゃない、あの医者。あいかちゃんがどんな風に聞いてるか知らないけど、あなたはあの医者に誘拐されたのよ」



「誘拐?・・・」



私は頭が真っ白になった。



そして、そのまま記憶が途切れた。


 
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