わたしのピンクの錠剤
 
どうして美智子先生の提案を受け入れたのかわからない。

 先生に嫌われたくなかったから?
 親父のことを心配して?


どうなんだろう。


ともかく、スーパーで親父が買い物に立ち寄るのを待ち伏せた。


「お帰り、お父さん」


「なんだ、あいか・・」

「いっしょに買い物しよ」


「レタス88円だよ。買っていい?」

「ああ」

「シーチキンもいいでしょ」


そこまでやってレタスとツナ缶を買って帰ると、わたしは台所に立った。


美智子先生に教えてもらった通り、レタスをちぎって器に並べた。

そして、その上にツナとマヨネーズをあえて、のっけただけのサラダ。

しかも、器はラーメン丼だった。



それでも、親父は喜んで全部食べた。


 
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