わたしのピンクの錠剤
真実
「あの、達哉さんは亡くなってたんですか?」
おばあさんと茜さんは顔を見合わせた。
二人それぞれに譲り合い、自分で答えるのをためらっている。
「すいません。亡くなってるなんて、知らなかったんです。お母さんといっしょの事故だったんですか?」
時が止まったかのように二人は答を留保し続ける。
「本当は生きてるんですか?」
おばあさんは私の言葉を否定も肯定もしない。
「小田さんには何も聞いてないんだね」
私は頷いて、おばあさんの答を待つしかなかった。
「あぁ、そうか。中学生になったら真実を話すって手紙に書いてあったんだったね」
おばあさんは私の問いに答えるつもりがないのかもしれない。
「中学生になってからじゃ、駄目なのかい?」
私は首を横に振った。
「一体、何があったんですか?生きてるのか、死んでるのかも言えないんですか?」
「・・・」
口を閉ざしたおばあさんに替わって、茜さんが答えた。
「殺されたの。兄は殺されたの・・」