わたしのピンクの錠剤
親父を待っていると誰かが近づいてきた。
よく見るとそのスーツ姿の男性は親父だった。
作業着姿しか見たことがなかった私には新鮮で、ちょっとカッコ良く見えた。
挨拶もそこそこに車に乗り込み、下平の家に向かった。
助手席に座った私には後ろの親父の表情はわからなかったけど、熱い視線だけはビシビシ感じていた。
下平の家に着くと、親父はひたすら頭を下げた。
それは横で見ていた私が気の毒に思うほどだった。
でも、頭を下げられた方のおじいさんもおばあさんも親父を一言も責めることなく、ただただ涙を流すだけだった。