わたしのピンクの錠剤
親父は勧められても決して足を崩そうとはしなかった。
座卓をはさんで正座したまま対峙していた。
お茶を持ってきた茜さんは早々に奥へ引っ込み、重い空気が淀んだままだった。
「あの、・・・」
私はその沈黙に耐えられない。
「どうして達哉さんは殺されたの?」
昨日からの疑問をぶつけると、間髪入れずに膝の上に置いた手を親父に叩かれた。
親父は狂いださんばかりの表情で睨みつけてきた。
「小田さん、違うのよ。昨日、約束していたの。今日、ちゃんと本当のことを話すって。そうよね、あいかちゃん」
私は黙って頷くと、親父と距離を置くように座卓の横へ膝を立てて移った。
「こら、あいか」
親父はひそひそ声で追いかけたが、私は目も合わさなかった。
「申し訳ありません。この子には何度か話そうと思ったんですけど、どうしても言い出せなくて。でも、今度ばかりは帰ったら私からちゃんと話します」
「いや、小田さん。あなただけに責任を押しつけるわけにはいきません。どうでしょう。この場で、あいかちゃんに話すことにしませんか」