わたしのピンクの錠剤
座卓の横にいたわたしはふいに立ち上がり、親父の腕をつかんで親父の後ろに隠れた。
親父はわたしの頭を撫で、その顔をのぞき込んだ。
「あいか、なのか?」
わたしは小さく頷いている。
「そうか、出てくる決心をしてくれたか」
「ううん」
わたしは小さく首を横に振る。
「だれもいないの」
「誰もいない?」
「お父さん、ここはどこなの?」
親父はおじいさんとおばあさんを見た。
何か言おうとした二人を親父は手で制した。
「ここはあいかのおじいさんとおばあさんの家だ。ほら、おじいさんとおばあさんだよ」
わたしは親父の肩越しに二人を見つめた。