わたしのピンクの錠剤
ふと、鮮明に愛子の昔の記憶がよみがえった。
私は達哉の優しい息づかいを聞いていた。
「哀哉がそうだったように、たとえ死んでも俺は愛子の側にいることにするよ」
「いやだぁ、それって化けて出るってことじゃないの」
突然、その人は上体を起こした。
私はその人の唇を追いかけて、太ももの上にまたがり、キスをした。
その人は私の肩を持って引き離し、キスを遮ったが、思い直したようにまた軽くキスをした。
「真面目な話なんだ。死なないっていう強い意志を持てば、肉体は滅んでも心は遺せるはずなんだ」
私はその人の首に手を回した。
そして、短いキスをする。
「わかった。私もそうする。そして、達哉の前に化けて出てやる」
「ああ、そうしてくれ」