わたしのピンクの錠剤
美術館での出来事
日曜日、わたしは美智子先生と待ち合わせていた。
これまでにも何度か放課後に会って、お茶碗をもらったりしていた。
それでも、日曜日に会うのは初めてだった。
「今日は美術館に付き合ってね。誰にも内緒よ」
そう言いながら笑う先生は、わたしの目にも魅力的だった。
「エゴン・シーレって知ってる?」
先生は自分も知らないくせに、そう言う。
友達が行けなくなったからと、チケットを譲ってもらったらしい。
わたしは美術館に行くのも初めてなら、誰かと出かけるのも初めてだった。
期待に胸ふくらませていた。