わたしのピンクの錠剤
達哉と哀哉
達哉は、一人遊びの好きな子でね。
ちょっと変だとは思っていたのよ。
達哉は一人芝居でもするようにいつでも上手にふたりの役を演じていた。
それが実に楽しそうなのよ。
いっしょにいるこっちまでウキウキしちゃってね。
深く考えもせず、ついつい達哉の好きにさせておいたの。
その日も達哉の部屋から、いつものように達哉の声が響いていた。
でも、いつもとは様子が違っている。
話の中身まではわからないけど、それは怒鳴り声に聞こえた。
不思議に思い、こっそり部屋を覗くと、達哉ったら一人っきりで自分相手に大喧嘩をしていたのよ。
その異常な光景に驚き、どうして今まで放って置いたのか、今更ながらに馬鹿な自分を呪った。