わたしのピンクの錠剤
 
その日のうちに医者に相談した。

医者は二重人格のようだと言った。
でも、普通の二重人格じゃないとも言った。
 
確かに達哉は医者の言う普通の二重人格とは異なっていた。

性格が急変することも、片方を隠すように人格が入れ替わることもなかった。


達哉の中には常にもう一人いて、達哉の身体を二人で共有しているようだった。


結局、医者は何の解決法も示してはくれなかった。

そればかりか、医者に診てもらった次の日から、達哉の中で異変が起きていた。



達哉がもうひとりのことを哀哉って呼ぶようになったの。


本当に驚いた。

だって、その名前は産まれなかった達哉の双子の弟の名前だったの。

でも、逆にその名前を聞いて、すべてに納得がいった。




ああ、哀哉は死んでなかった。

達哉の中で生き続けていたんだ、って。


 
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