わたしのピンクの錠剤
「最初は亡くなった哀哉が生き返ったようで嬉しかった」
そう言って、おばあさんは言葉を濁した。
「でも、次第に哀哉のことを疎ましく思うようになっていったのよ」
それはおばあさんの本音。
私は冷たい液体が心の中から身体全体へと流れだすのを止められなかった。
環境は違っても、哀哉と私の立場は同じだった。
私も疎まれている。
それは忌むべき感情。
私はそれを勘ぐられないように敢えて明るくおばあさんに尋ねた。
「二人はどんな風に違ったんですか」
「そうねぇ、達哉はまるで心の中まで見通すようにじっと目を見て話した。
純粋で執着心のないさっぱりした性格だった。
それに対し、哀哉は目じゃなく口元を見ているようだった。
嫉妬深かったし、ねちっとしているように思えた」
卑屈な哀哉の姿を思い描いた。
私は哀哉とは違う。
私は哀哉みたいに卑屈になったりしない。
私はおばあさんの目を真っ直ぐに見た。