わたしのピンクの錠剤
 
立川での長い二日間が終わろうとしていた。


「あいかちゃん、まだ寝てるの?後でいいから、本当のお父さんのことを教えてあげてね、絶対だよ」


おばあさんに念を押され、私はわたしを起こした。

そして、この二日間の出来事をわたしに語って聞かせた。



いっしょにデパートに行ったこと。

いっしょに料理を作ったこと。

楽しい会話に、楽しい食事。


私の体験した夢のような出来事の数々。



それを聞いたわたしは自分で体験したように喜んだ。

いっしょに体験したかったろうにと思うと、胸が熱くなるのを抑えられなかった。



それでも、本当のお父さんのことは黙っていた。


「また、来るんだよ。待ってるからね」

わたしは大きく頷き、笑顔で手を振った。


 
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