わたしのピンクの錠剤
新幹線に乗った時には辺りはもう暗くなりはじめていた。
わたしがいない間、いろんなことがあった。
美智子先生のことは何て言えばいいんだろう。
九十九里のことも、そう。
何をどう切り出せばいいのか、ためらう。
すると、わたしの方が先に切り込んできた。
『あなたはお母さん、なの?』
唐突なわたしの質問に私は動揺を隠せない。
わたしがそう思うのも無理はないと思う。
でも、私には否定も肯定もできない。
『少しばかりお母さんの記憶があるだけよ』
『ううん、お母さんだよ』
わたしは無神経にそう断言する。